ある朝夢から目覚めると、毒虫になっていた。
突然虫になってしまった男と、
その家族の生活という日常。
あまりにも非日常的な出来事には、説明も何もない。
ただ、【突然虫になってしまった】事実があるのみである。
「この子は虫じゃない。私達の家族だもの。」
そんなこと、現実では有り得ない。
目の前に居るのは、どう見ても毒虫である。ただ、それだけ。
家族を養えず、母親を気絶させ、下宿人を追い出そうとする、
そんな虫が、家族である訳がない――。
20世紀を代表する不条理小説として、
現代でも必読書に挙げられることの多いカフカの「変身」
人間のエゴや弱さを鋭く突く、問題作。
フランツ・カフカ
チェコ生まれ。
ユダヤ系ドイツ人で作家。
非日常的な事象を日常に落とし込み淡々と描き、
夢のような独特な小説を多く残す。
20世紀の文学を代表する作家の一人。
生前は「変身」など数冊がごく一部で評価されていたに過ぎなかったが、
死後、遺稿「審判」「城」といった作品が、
友人であったマックス・ブロートの手によって発表され、
第二次世界大戦中に、サルトル、カミュらに評価されることで、
世界的に注目された。